相棒の世界




ーーーガシッ



「っ!?」



ふと、誰かが俺の腕を掴んだ。



「私はこっちだぞ、兎」



ーーーニカだった。




「…ふっ」



思わず笑みが溢れてしまった。





優しさの話をしたからだろうか…


それとも俺が残酷の世界に佇んでいるだろうか…





ニカの手が、優しさそのものに感じるーーー。







「なぜ笑ってる、兎」



「ふっ、わざわざ迎えに来てくれるなんて…
お前の方が心配性だと思ったからだ」



「っ!!」




ニカはふてくされた様子になると、俺の腕を投げ払った。




「私は心配性でもなんでもない…
余計な世話なら自分でどうにかして来い」




そう言い残して、ニカは俺から離れていこうとした。





ーーートン…



「っ!!」




そんなニカの肩に、俺はそっと手を置いた。



ニカの肩はーーーまだ小さい。





「ーーー余計、ではなかったかもな」



「え…」



「ふっ」




俺はニカが被ったシルクハットをポンと叩いた。




「ガキはもう寝る時間だ。
ーーーさっさとベッドに入れ」



「…っ」




俺は窓の方へ戻っていった。




月の光がーーー俺の顔を照らす。



月の光は限りなく孤独だ。



だからこそ見ることはできなくても、感じることはできるのかもしれないーーー。







< 147 / 506 >

この作品をシェア

pagetop