*完結* 星野と高瀬のばあい
第二章/問題編
* * * * *



———星野さんてさ、


自分の名前を耳にして、反射的に視線がそちらに向く。

目に映るのは、グレーの仕切り板だけだ。

パンツを下ろして、便座に腰かけたかっこうで、壁の向こうにある光景を想像しながら、
耳をそばだてる。

手洗い場で、数人のクラスメイトがおしゃべりに興じているようだ。


まいったな、出れないではないか。
本人がいるかもしれないところでうわさ話とは、無邪気なものだ。



———星野しおさ?

———あの子って、ハーフだよね? 名前はめっちゃ日本人だけど

———見た目と名前にギャップあるよね



・・・自分でつけたわけじゃないぞ。
< 19 / 125 >

この作品をシェア

pagetop