輪

一章 橘学園

桜散る通学路。雀の鳴く声。
昨日の雨でできた水溜まりを太陽が照らす。

春風も暖かく晴天のこの日、橘学園の入学式が行われる。

校門の前では２･３年生の先輩が教室への案内をしている。
教室はまだ見知らぬ人ばかりで静か…

予鈴まであと２分。新入生はほとんど席に着いた中、Ａ組にだけ空席が2つ...




綺麗に散る桜の中を走る女の子。右手には橘学園への地図が握られている。

｢や、やっとついた！｣

そう言ったのと同時に予鈴の鐘が鳴る
再び急いで走り出す女の子が目に入り思わず固まってしまっている男の子がいた
その男の子を見つけた女の子は明るく声をかけた

｢あ、あの！遅刻しちゃうよ？？｣

すると男の子は素っ気なく言った

｢別に気にしない｣

少し頭に来た女の子は男の子にあ、そうですか。と、冷たくいうと教室に向かって走り出した

男の子はそんな女の子を見たまま
これから地獄に落ちる...と静かに言った