遥かなる国のロマンス
第一章…まさかの初恋
「叔父上、本気ですか?」

いつもの叔父の悪い冗談であって欲しいと心の中で手を合わせる。

「本気だ。一月後のラファエル学院の入学試験に首席で合格してくれ。」

あまりな展開に言葉が出て来ない…。

「父上、ラファエル学院は未来の高官、騎士団を率いる優秀な指揮官を養成するするための…」

「我が家は、代々国王陛下の直属の騎士団を率い余多の外敵を討伐し、陛下から公爵の称号を賜った武門の家系。また天下に二人とない剣客と知られた亡き父上から直々に剣術を教えられ、その父に後継者として認めさせた腕があるのだ。そこらの軟弱な若造など敵ではない。」

最愛の従兄弟の言葉を遮って、豪語し胸を張って私達を見つめる叔父に、軽く目眩がしてきた…
この人は…重要な事を忘れてる…

「父上、確かにシアの剣の腕と頭脳があればラファエル学院を首席で合格もあると思います。ですが、父上は大切な事を忘れてませんか?」

呆然として、言葉の出ない私の代わりに従兄弟のレオが叔父を嗜めてくれた。

「???」

「はぁ~っ。父上、シアは女の子です。ラファエル学院は男しか入学出来ない所でしょ。」

何が問題なのだと言う顔の叔父にレオがため息混じりに説明するが、

「問題ない。」

大きく頷きながら、叔父は私とレオを見た。

「問題……おおありです。」

何を根拠に問題がないのか!
私はたまり兼ねて叔父に抗議した。
このままでは、男ばかりの学院に入れられ、とんでもない生活を強いられる。
冗談じゃない!

「叔父上、私はこう見えても女です。女らしくなくても何でも、男ばかりの学院で生活するなんて、不可能です!」

一気に捲し立てるように言うと、わかってくれた?と言う様にレオの顔を見た。
思いっきり『当然だよ!』と頷き、力強く見つめ返してくれる。
でも、解って欲しい人には通じていなかった。

「確かに、シアは女だ。本来ならレオが学院の入学試験を突破するべきだし、そのつもりだった。だか、レオのこの状況では試験を受けるなど不可能だ。私とて、可愛い姪のお前にこんな苦難を与えたくない。
しかし、今年どうしても首席で合格してもらわねばならないのだ。」

叔父は2ヶ月前に領地の見回りに出かけ、盗賊に襲われた何処かの令嬢を助けに入って、大怪我を負ったレオを見る。

「申し訳けありません、父上。しかし、だからと言ってシアに…とは余りに無謀な話です。来年、必ず首席で合格します。ですから…」

「来年では、間に合わないのだ。」
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