婚約者はホスト!?②~愛が試される時~

さっき なつが言っていたCDのことを思い出した。
俺は、芹佳が勝手に持ち込んでいたものと気づかず、なつに辛い思いをさせていたようだ。

確かにあの曲は、芹香との思い出の曲だった。
今頃になって、あの頃の記憶が鮮明に蘇ってきた…。

俺と芹佳は、初めてのデートで、あの曲が主題歌の映画を見に行った。それまで、女の子とは適当に遊でんでいた俺…。そういう真面目なデートに緊張して正直映画どころではなかったけれど…。

隣に座る芹香は、スクリーンの中の恋人達に一喜一憂しながら夢中で見ていた。
そして、ラストで二人が結ばれエンドロールであの曲がかかった瞬間、芹香は涙を流した。
俺は、そんな芹香がたまらなく愛しくなって、その唇に思わずキスをしていた…。
あの曲には、俺達にとって大切な思い出が詰まっていたのだ。

芹香は映画館からの帰り道、もし自分達があの恋人達のように引き裂かれて何年か後に再会したらどうするかと聞いてきた。
その時の俺は、確かこう答えた。

『もし芹香に恋人がいても、例え結婚していようとも、俺は芹香のこと奪いに行くよ。』

当時の俺には芹香が全てだったから、そんな無責任な言葉さえも簡単に口にできた。

でも結局俺は、その約束どころか、あの曲さえも忘れてしまったんだ…。

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