闇の守護者たち
第一夜
ある日、神の力で1つの世界が生まれた。そこでは新しい命が宿り、そして失っていった。そうして、その世界のバランスは保たれていた。しかし時が経つにつれ、1つの世界からたくさんの世界が生まれてしまい、次第にそれぞれの世界のバランスが保てなくなっていった。
ある世界は戦争を起こし、生き延びようとした。
またある世界は自ら消滅し、長く苦しまないようにした。
そして、またある世界は見つからないように隠れて生き延びようとした。こうして自分たちの世界を、バランスを保とうとした。

・・・しかし、それがいけなかった。
それぞれの世界がバランスを保とうとするあまり、世界は大混乱へと陥ってしまった。
神は泣いた。そして悩んだ・・・「一体どうすればいいのか」「どうしたらこの混乱は収まるのか」「どうしたらバランスは保たれるのか」。

そんなある日、神の前に黒いマントを覆った者たちが現れた。その者たちは「世界のバランスを保つ代わりに我らの存在を消して欲しい」と神に頼んだ。
神は驚いた。
彼らは、名は明かさない者たちで、誰もどんな者たちなのか、神ですら知らなかったが、彼らには力があった・・・選ばれし力が。
その力でたくさんの者を救った。神もまたその救われた者の1人だった。だから彼らを嫌う者などおらず、逆に慕う者ばかりだった。
そんな彼らが「存在を消して欲しい」と発する意味が何なのか、神は分からなかった。

存在を消す、それは2つの意味を持つ。
1つは、死。もう1つは生きているのに生きていない、残酷で悲しい生き方。彼らはもう1つの意味で神に頼んだ・・・神は悩んだ。
このままではバランスは保てなくなり、何もかも崩壊してしまう、この混乱を収めたい。しかし彼らの望みでも存在を消すなどという、残酷なことはしたくない。彼らの願いでも、いつか必ず彼らは苦しむことになるだろうと、神は分かっていた。

───・・・神は悩んだ。悩んだ末、神はバランスを保つことを決心した。それは同時に彼らの存在を消すことも同じように決心したということだ。

─────世界のバランスは保たれた。彼らの力によって。

彼らは神によって存在を消す際に、神にある事を伝えた。

「我らは存在を消すが、神は我々を認識できる。神以外の者には24時間が経つと記憶から消される。我らはこれまで通り、世界のバランスを保つ…───」

そして、最後に彼らは神に伝えた。

「───…我らは“闇の守護者"。世界のバランスを保つ、選ばれし者。誰の味方でも敵でもない。我らの邪魔をする者は誰であろうと排除する。例えそれが、神であっても……神よ、感謝する………─────」

そうして、彼らは暗い闇の底へ、消えていった・・・─────。


豪雨が降り続き、雷鳴が鳴り止まない森の奥深くに、「あの世の入口」と呼ばれている湖があった。その湖には誰しも近寄らない。
人間も動物も、悪魔も天使も。
しかし、ある日を境にその湖は消滅した、という噂が流れた。理由は誰も知らない。なぜなら誰もその湖には近寄らないから・・・・・ただ、小さな少女が森の奥底に入ったというのを見た者がいた。
なぜ少女が、森の奥底に入ったのか誰もその理由を知らない。
・・・少女はその後、2度と戻ってくる事は無かった・・・─────。




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