俺様生徒会長に鳴かされて。

なぞるようにそっと動く。



くすぐったさと、

きゅるきゅるとする胸の甘い痛みに、


わたしは息を忘れる。



ニッと彪斗くんが笑った。





「おまえ、すぐ震えるんだな」


「え…」


「ほんと、小鳥みてぇ…」





綺麗な顔が近づいてくる…



ドキドキ



「おい。ところで返事は?」


「…え」


「俺のものになる、って返事」


「え、そんなすぐには決められ」


「はい、は?」


「ええ…」


「はい、は!?」





って…撤回だよ…


やっぱり、彪斗くんは威張りん坊…!





でも、突き離せなかった。



黒髪からのぞく、色っぽい目に惹きこまれるように、



こくん…



ってうなづいてしまった。





「よし、いいこ」



すると、彪斗くんは子どものように、くしゃっと笑った。



「今日からおまえは俺のものな。

俺の言うことはなんでもきくし、俺の好きなようにされるんだぞ」


「そんな…それじゃあドレイだよ…」


「問答無用。知らねぇのか?ここじゃ俺に逆らうやつなんていねぇんだぞ。

俺の言うことは絶対。おまえの自由も権利も、ぜーんぶ俺のもの」



ぜーんぶ、な…



そうつぶやいた彪斗くんの指が、わたしの唇にふれた…。




胸が痛くなって、ぎゅっと目をつぶった。



ひぁ…



耳たぶに、ほんの一瞬、柔らかい感触を感じた。



と思ったら、低くて色っぽい声が、そのすぐそばで震えた。



「仕方ないから今日はこれで許してやる。

けど、ここじゃ俺が王様。

おまえは俺からは絶対に逃げられない」



解かったか、小鳥。
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