俺様生徒会長に鳴かされて。
五人でパークに行ってから、何週間か経った。





「優羽ちゃん優羽ちゃん。

来てるよ。

お む か え」


「…おむかえ?」


「生徒会長。彪斗くんだよっ」



見やるとクラスの入口に彪斗くんが立っていた。

戸に背を預けて、「さっさと来い」って親指でジェスチャーしている。



「いいなぁ、あの惣領彪斗から直々にお出迎えだなんてっ。

ウラヤマシイぞっ」



ってふくれっつらを浮かべるのは、寧音ちゃんのお友達で、最近仲良くなったクラスメートのヒナタちゃん。



学校生活に慣れるにつれて、寧音ちゃん以外にもこうやって打ち解けて話せる子が増えた。

芸能人だけど、みんな学校にいる時は、普通の子と変わらないのがうれしい。





「優羽ちゃんが転入してきてから、彪斗くんを見かけること多くなったよねー。

それだけ目掛けてもらってるってことだよね!

でも、優羽ちゃんなら当然と言えば当然かぁ。

最初見た時は正直ね「うわ、このコちょっとありえない…」って思ってたんだけど、

急にメガネ取ってからはそう思ったこと反省したよ。

本当はこーんな美少女だったなんてっ」


「そ、そんなことないよ…」


「そんなことあるっ。

あたし、事務所の人に聞かれちゃったもん。おまえのクラスに突然現れた美少女は誰なんだーって」



最近、色んな人からこういう風に言われることが多くなった。

まだ信じられなくてピンとこないんだけど、

周りの生徒の反応は明らかに変わったし、こうやって新しい友達が増えたことを考えると、

わたしの世界は確実に大きく変わり始めてるんだな、って思う。

彪斗くんのおかげなんだなぁ…。
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