イケメン侯爵様とお試し結婚!?
サティは手慣れているのか、てきぱきとアマルダにドレスを着せ、そして化粧を施して行きます。
準備をしながら時間が近づいていくにつれ、不安は募っていくばかり。
しかし、昨日のヴァン様の言葉を思い出し、何とかその不安を打ち消そうとするアマルダでした。

「―――出来上がりましたわ、アマルダ様。・・・やはり化粧をすると綺麗になりますわね」

サティは満足そうにそう言うと、着飾ったアマルダを鏡に映しました。

「・・・うそ。これが私?」

鏡に映る自分に、思わず声を上げてしまうアマルダです。
朝見た時にハッキリと出ていた隈も、あれだけ化粧をしても消えないそばかすも、サティの手にかかれば綺麗さっぱりと消えていました。
そして美しく編み込まれ纏められた髪が、化粧をして綺麗になった顔をさらに際立たせます。

「無理に肌の色よりも明るいものを付けるから、そばかすが目立ってしまうんです。肌の色に合ったものを付ければ目立たなくなるんですよ?」

「すごい・・・。サティ、プロね・・・」

「褒めていただいて光栄です。・・・あ、ヴァン様がいらしたみたいですよ?」

ノック音と共に、ヴァン様の声。
サティが扉を開けると、貴族の正装である服を着たヴァン様が立っておりました。

「・・・アマルダ、とても綺麗ですよ」

「あ、ありがとうございます。まるで私じゃないみたい」

「大丈夫、自信を持って。・・・さあ、行きましょうか」

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