イケメン侯爵様とお試し結婚!?


伯爵様の部屋前。
アマルダは一呼吸おくと、扉をノックし伯爵様に話しかけました。

「お父様、アマルダです。入ってもよろしくて?」

「なんだ?結婚を断ってくれ、という話なら聞かんからな」

扉越しに聞こえる伯爵様の声は、まだ怒っています。
埒が明かない、と問答無用に扉を開けるアマルダ。

「だって、おかしい話じゃありませんか、お父様。こんないい家柄の方が私なんかに結婚の申し込みをするなんて、なにかあるとしか思えません!!」

伯爵様は書類らしきものを見ながら、目も合わさずに話します。

「どうしてだ?いいじゃないか、いい所へ嫁げるんだぞ?こんな幸せはないだろう?」

「私は令嬢としての礼儀や作法を碌にやっていないし、あちらだってこんな女がいったら迷惑だと思うわ。どちらも幸せにはなれません!」

思わず声を荒げてしまうアマルダ。
伯爵様は書類を机に置くと、アマルダの目をじっと見て、怯まずこう返します。

「お前が周りからそばかす令嬢と言われ、令嬢としての礼儀作法もない事、それはあちらも承知の上だ。わかった上で結婚を申し込んできているんだ。お前の今の現状を受け入れてくれる素晴らしいお方なんだぞ?」

「では、こんな変人を選ぶような変人の所に嫁ぎたくはありません」

「何を言っている。ヴァン様は、王宮の中で1、2を争う位人気のあるお方だ、決して変人などではない」

なによ、庭では変人って言いかけてたくせに・・・。
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