≪短編≫群青


始まりは、さかのぼること約1年半前。

中学3年の夏休み。



とにかくクラス仲がよかった。


だからだろう、夏の変なテンションの下、人が人を呼び、集まった当時のクラスメイトたち。

その中にいた、私と大雅。



場所は、学校の近くの公園だった。


誰かが酒を買ってきた。

家から花火を持ってきたやつがいた。



酒が入り、花火を振りまわしながら、私たちは、みんなで騒いで笑いまくった。



で、夜も更け、お開きとなるにあたり、さすがにこんな時間なので、男子が女子を送って行こうという話になった。

みんなでお互いに家の場所を確認し合い、最終的に、私を送ってくれるのは、うちから家が一番近い大雅ということになったのだ。


確かにクラスメイトではあったし、普通に話はするけれど、だからって私と大雅は特に仲がよかったわけではなかった。



それでも、何を思うでもなく、酒の入った高揚感と共に、私と大雅はくだらない話で盛り上がりながら帰路についた。



私のアパートの前まで辿り着くと、



「つーか、こんな時間だし、親、怒んねぇ? 俺が適当に言い訳してやろうか?」

「別に大丈夫だよ。うち、今、誰もいないし」

「いない?」

「うち、母子家庭でさ。ママ、スナックやってるから、夜は仕事でいないの。だから、怒られることはないし。っていうか、いたとしても、こんなことで怒るような人じゃないから。心配しないで」

「マジか」


うなづく私。

大雅は、だけど、なぜか考えるように腕を組み、何かを思い付いたように再び私の顔を見て、



「じゃあ、ちょい、付き合って」

「え?」
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