イジワル同期とルームシェア!?
まだ泣き続ける私を元希が胸に閉じ込めた。
元希の胸は乾いた汗で冷えている。安心する元希の香りがした。


「ごめんな、奥さん。心配かけて、悪い旦那だった」


「それ……やめてって……ば!」


抱き締められながら抗議するけれど、正直どっちでもよかった。元希が仮想夫婦ごっこをしようが、私を抱き締めようが何の問題もない。
元希が元気に帰ってきた。
そのことで充分だ。


「心配してくれてありがとう。……アヤが泣いてんのに、悪いけど……俺、すっげえ嬉しい」


「ばか……じゃない……」


私と元希はしばらくの間、そうして抱き合っていた。

不自然な距離だとはわかっていた。
だけど、仕方ない。

私が……この瞬間、元希の腕の中にいたいと思ってしまったから。





< 197 / 323 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop