イジワル同期とルームシェア!?
何、コイツ。
同期の中で一番デキるヤツと同じ班になっちゃったよ。

私は正直嫌だった。

もとより地味路線で、出る杭になりたくない私は、元希と同じ班なばっかりにいっしょくたに注目された。
同じ班だった努くんや涼子が、元希と並んでも遜色なく見えるのは、彼らに確固たる自分があるからだろう。


『おい、ブン、元気出せよ』


連日の研修で、ひとり置いてきぼり感マックスの私はヘコんでいた。
もう息切れしそう。
みんなの……この班のペースについていけない。


『おまえさ、もうちょっとガツガツヤル気だしといた方がウケいいぞ?ただでさえ、俺たちの世代ってゆとりだなんだって言われてんだからさ』


元希は当時からマイペースだった。当たり前にできる人間に、同じレベルを求められるのはつらい。
はあ、青海元希の積極性の一割でも私にあればなぁ。


『私……先頭を歩くタイプじゃないから……』


私の情けなさ過ぎる弱音に、元希はふんと息をついた。
あきれているようにも、どうでもよさそうにも見えた。
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