飴とノイズと君の声
「そろそろ戻る?」


『戻りたくねーなー』


言っていることと思っていることが真逆で、少し笑ってしまった。


「戻りたくないんですね」


私が笑ってそう言うと、「あ、バレた?」と微笑んだ。


「もう少し、ここにいませんか?」

「え、いいの?」

「私もちょっとのんびりしたいので」


私の言葉に、嬉しそうな表情を見せる琳ちゃんさんは、なんだか可愛らしい。

思ったより可愛らしくて、素直な人なんだなーと思う。


「琳ちゃんさんは、どうしてアイドルを始めたんですか?」


話を続けようと私が何気なく振ったその話題は、琳ちゃんさんの表情を、一瞬にして曇らせてしまった。
< 38 / 110 >

この作品をシェア

pagetop