飴とノイズと君の声
第四章

遠い距離

次の日、私が教室に行くと、琳ちゃんさんはいつも通り囲まれていた。


「えー!琳ちゃん、声出なくなっちゃったのー!?」

「嘘~...大丈夫?」


みんなの心配する声に、琳ちゃんさんは笑って頷いた。

そんな琳ちゃんさんと目が合う。

だけど、琳ちゃんさんはふっと小さく微笑んだかと思うと、すぐに目線を逸らした。

愛されるのが怖い。

つまり、女性と仲良くするのが怖い。

理解を出来たかって聞かれたら、それは分からない。

琳ちゃんさんの悲しみの重さより、私が理解した重さの方が随分と軽いかもしれない。

だからせめて、琳ちゃんさんがこれ以上重たい荷物を背負わなくて済むように。

そう思って、私は琳ちゃんさんと目線を合わすことを止めることにした。
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