猫系男子の甘い誘惑
謎のお誘い
 翌朝、倫子がようやく起きだして顔を洗った頃、佑真は家までやってきた。とりあえず、部屋まであがってもらう。
 
「……意外。倫子さんの部屋ってもっといろいろあるんだと思ってた」
「もっといろいろって?」
「なんて言うのかな、レースのカーテンとか、花模様のベッドカバーとか」
「そういう趣味ではないわね!」

 倫子のどこを見てそんな趣味だと思ったのかわからなかった。倫子が自分の部屋に求めるのは居心地がいいことのみ。花模様のベッドカバーが可愛いと思ったら買うだろうが、今のところはもう少しシンプルなインテリアの方が好ましい。
 
「あ、でもあのあたり処分したでしょ」
「目ざといなあ……でも、一人暮らしの女性の部屋に上がり込んでじろじろ見まわすのってどうかと思うんだけど」

 ローテーブルの前にちょこんと座った佑真の視線は、部屋中をぐるぐると回っている。昨日片付けたばかりの空間を目ざとく見つけられて、倫子は苦笑いした。

 きちんと茶葉からいれてもいいのだが、佑真相手にそこまで手間をかける気にもなれない。
 
 それでも一応安物ではなく、輸入食材を扱っている店で買ってきたおいしいティーバッグで紅茶をいれてやる。カップに直接ティーバッグを放り込むのではなく、ポットも使って丁寧にいれた。
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