春風
プロローグ
私が恋をしたのは叶わない恋をしている彼だった。

彼は恋人のいる人を好きだった。

私は彼が好きだった。

彼のつらい顔を見るたびに私だったらと考える自分が嫌だった。


彼の恋が叶ってほしい

叶ってほしくない。

そんな気持ちが私の中に渦巻く。

彼の笑った顔が見たい。

悲しい顔なんて見たくない。

だけどふと思うんだ
あの視線の先にいるのが私だったら


いつからこんなにも欲張りになってしまったんだろう。




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