明日はきっと晴れるから



「ごめんね……」


失敗してしまったことを謝ると、美緒ちゃんが「なんで謝るの?」と言いたげな目で、不思議そうに私を見ていた。



その後は無言で、お弁当の続きをモソモソと食べ始めた私。


すると由希奈ちゃんが、私のお弁当箱に手を伸ばしてきた。



「菜乃花のお母さん、エライよね〜。うちのお母さんは頼んでも作ってくれないよ。

始めは作ってくれたのに、なんでかな? もうヤダって言われた〜アハハッ。

玉子焼きしばらく食べてないんだ。一個ちょうだい?」



由希奈ちゃんのカラフルな爪で摘まれた玉子焼きが、ピンク色の唇の奥へと入ってしまった。


もぐもぐと口を動かして、「ん〜」と首を傾げてから、

「美味しくな〜い。 なんか、しょっぱいし」

そう言われてしまった。


うちの玉子焼きは、お砂糖じゃなくてお醤油と出汁が入っている。


私はこの味で育ってきたし、美味しいと思っていたけど、

そっか……他の人には美味しくないと感じるんだね……。


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