明日はきっと晴れるから
私らしい私に



◇◇◇


体育祭から何週間も経っているけど、私はまだ結城くんに過去の話を聞けずじまい……。


体育祭の時に、保健室まで運んでくれたお礼は伝えた。

『ありがとう。迷惑かけてごめんね』って。



結城くんは、

『なんともなくてよかったよ。
俺は大したことしてないから、お礼も謝罪もいらない』

そう言ってくれた。



それから、過去のことを聞こうとして、

『あのね、私と結城くんは小さい頃……』

そう言いかけたら、話をそらされてしまった。



『宗多さんが好きそうな本を、今日も持って来てるんだ。
取ってくるから、待っていて……』



結城くんは私よりもずっとたくさんの本を持っていて、いつも私が借りる側。


本を貸してもらえるのはとても嬉しいんだけど……話をそらす道具として使われるのは困ってしまう。



私っておしゃべりは得意じゃないし、一旦外れた会話の流れを戻すことができなくて、

そんなふうにいつも聞きたくても聞けないという、モヤモヤした気持ちを抱えていたーー。


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