あなたの狂おしいほどの深い愛情で、もう一度恋ができました
 別にウェディングドレスとか結婚に興味を示したわけではなく、単に最上梨子のデザインが好きだと言っただけなのに。
 私が全力で否定をしても、社長の誤解が解ける気配は一向にない。

 これだからアラサーはしんどいのだ。なにげないことですぐに“結婚”の話になりかねない。
 今はハラスメント行為に対して厳しくなっているため、昔と比べればマシなのだろうけれど。

 社長も私に結婚を勧めているわけではないらしい。
 社長自身もバツイチなので、ダメになって離婚をする精神的な辛さも知っているから。
 だけど、恋愛はしたほうがいいとしきりに勧めてくる。

 社長いわく、恋をすると女性ホルモンが活発になって見た目も綺麗になるらしい。
 本当にそうなのか疑わしい上に、私にはとくに綺麗になりたい願望もない。
 なのに社長は取り柄のない私に、自分から行動に出なさい、と口やかましく助言をする。

 私本人にその気がないのに滅茶苦茶だ。
 社長がそこまで言うほど、恋愛は良いものなのだろうか。


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