傷む彼女と、痛まない僕。
僕だって知っているんだよ。吉野さんのバイトの事。 そんな意地悪な意味が篭った言葉を吉野さんに投げかけると、吉野さんは振り返り、唇を噛みながら僕を睨みつけた。
その目には、薄っすら涙が滲んでいて、彼女の両手は、悔しそうにスカートをきつく握り締めていた。
しまったと思った。 言わなければ良かったと思った。
言ってしまった言葉を取り戻す事が出来ればいいのに。
吉野さんがあんなに追い詰められた表情をするなら、言うべきではなかったんだ。
「・・・・・・口止めって・・・何??」
唯ならぬ吉野さんと僕の空気を悟って、小山くんが僕の顔を見上げた。