音ちゃんにお任せ



「今日は、本当にありがとう」

「こちらこそ。お会いできてよかったです」

「瑞己と一緒に会えたらよかったんだけどね」

「はい・・・。家族の時間を、楽しんでください」




玄関先までお父様がお見送りしてくださり、私は深く頭を下げた。
お父様に会えて、本当によかったです。





「・・・こんなことを、言うのは不躾かもしれないが・・・。君は、瑞己の事を好いてくれているんだね」

「あ・・・」

「君みたいな子が、好いてくれてることが嬉しくてね。つい、言いたくなってしまったんだ」




お父様は、子どもの事ならなんでもお見通しなのでしょうか。
親子だからこそ、なにか気づくことがあるのかもしれませんね。

私は頬を赤らめ俯く。
少し間をあけた後、顔をあげ、お父様を見た。




「はい。私の、片思いなのです」




口に出して言ったのは、初めて。
とてもドキドキして、ソワソワ落ち着かないです。


口に出してしまうと、その気持ちは確定されたようにすとんと胸の中に落ちてくる。




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