レインボウ☆アイズ

学校

学校に着くと授業は始まっていて、どうしたらいいのかわからないので、
俺は保健室に行った。
「敦哉!どうしたの…。何があったの?」
祐子さんが飛んできた。心配そうな顔をしている。
「ごめんなさい。ちょっと色々あって…。」
その顔を見て、俺は自分の軽率な行動を悔やんだ。
「とりあえず、修に電話するわ…。ちょっと待って。」
みんなに心配かけちゃったんだな…。電話くらいすればよかった。
反省して待っていると、祐子さんが電話を終えて俺に聞いた。
「で、何があったの?」
「うん…。」
俺は”死にたい”という声を電車で聞いて、咲葉さんとその人を追ったことを話した。
「そう…。何事も無くてよかったけど、もうこういうことはやめてほしいわ…。」
目を伏せて祐子さんは言った。
「でも、咲葉さんの知ってる人だったし。咲葉さんがいたから大丈夫だと思って…。」
「せっぱつまった人間が、どんな行動に出るかなんてわからないでしょ?」
祐子さんは厳しい顔で言った。
「咲葉ちゃんだって、本当はお金目当てかもしれないじゃない…。」
冷めた目で言う祐子さんに、俺は反論する。
「…何言ってるの?そんなわけないじゃん。」
「わからないじゃない…。そういう子、いたでしょ。昔から。」
険しい顔で祐子さんは言った。
…確かに、俺の家のことを知っていて、近づいてくる子もいた。
それが心の声でわかって、人間不信に拍車をかけたかもしれない。
「でも…咲葉さんは違うよ。そんな声、聞いたことないもん。」
「言わないだけよ。話を聞いてると器用そうだもんね、使い分けてて。」
祐子さんのはっきりした物言いはいつものことだけど、さすがに俺も今は苛立ちを隠せなくなった。
「何それ。咲葉さんに会ったことないのに。」
「そうね。一昨日、修の反対を押し切って行けば良かったわ…。
 でも、敦哉を危ない目に合わせるような子は、信用できない。」
それは咲葉さんのせいじゃないけど、これ以上言っても俺の言葉は届かない気がして
話すのをやめることにした。
チャイムが鳴ったので、俺は立ち上がる。
「心配かけてごめんね。」
とだけ言って、教室に向かった。
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