フルート吹きの魔法使い

「弟子・・・ですか。人嫌いのあなたが珍しい」

「彼女の魔法の力に惚れたのさ。・・・見ていたかい?」

「ええ。すごい魔法です。あの音の羅列を聴いている時には、私も身動きが取れなくなった」

一面の花。

それを改めてフランは見渡す。


「へぇ、人にも効果ありってとこかい。それは凄い」

ルリは申し訳なさそうにモールの後ろへ隠れようとする。

「隠れないでルリ。私はアルデハラ城の騎士団の副団長を務めるフラン・リディグと言う。以後宜しく」

フランは手のひらを上にして、るりの前に差し出した。
が、ルリはその上に手を置こうとはしない。


きょとん、とフランを見ている。

< 19 / 270 >

この作品をシェア

pagetop