美男子の恋事情!


俺が担当する生物の教科室がある特別棟校舎三階の廊下。


滅多に生徒も他の教員も来ないここは、俺の絶好のサボリポイントだ。


学校がやや丘に位置してることもあって、窓からの眺めは最高。


特にここからの朝日は格別で、ある時から毎朝ここに来るのが日課になっていた。




「俺は拓真のこと羨ましいけどな」



ある日、その廊下の窓からいつものように外を眺めていると、すぐ下にある裏庭から聞き慣れた声が聞こえ顔を覗かせた。


そこには俺が受け持つテニス部の部長、長谷川拓真とエースの板野海生が、何やら不穏な空気を纏って対峙していた。


幼馴染で仲が良い二人の対立に、俺は聞き耳を立てた。



カリスマ性、スター性を持つ海生。


周りをよく見てチームを纏め、部員から信頼の厚い拓真。



この二人が仲違いしたらテニス部は終わりだ。



「は?俺の何処が?」


「人脈あるし、コミュニケーション能力高いし。信頼されてるだろ、お前」


「人と話すのは確かに好きだけど」


「春山部長が拓真を次期部長にした理由、わかってねぇだろ?」



あー、それ。俺も思ってた。


海生の言葉を聞いて、一人でうんうんと頷く。





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