初恋ナミダ。

*関係ない



ジリジリと焼け付くような日差しを受けながら、私はひとり通学路を歩く。

ふと見れば、前方から携帯を耳に当て、頭を下げながら苦笑いを浮かべる30代くらいのサラリーマン。

すれ違い様に聞こえた謝罪の声に、私は心の中でおじさんも大変ですねと呟いた。

そう。

知らない人にも同情してしまう程に、私もそこそこ大変なのだ。

昨日から夏休みに入ったというのに、身に纏っているのは制服で。

朝から向かう先は……学校なのだから。


「ホント、何でOKしちゃったんだろ」


独りごちて、辿り着いた学校に足を踏み入れる。

脳内では夏休み前日の光景が再生されていた。



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