【完】わたしの恋のキューピッド
「じゃ、俺も行くか・・・」


「あら?蓮くんも行くの?」


「はい、せっかくの夏祭りですし!」


「そうね。
いってらっしゃい!」


「はい、いってきます」


私は心を弾ませながら一刻も早く
真司先輩との待ち合わせの場所に行きたくて、
慣れない浴衣が乱れないように小走りで走った。


「はぁ・・・。
やっぱり浴衣って走りにくい・・・」


というか下駄が悪いのかな・・・?


待ち合わせの場所が見えてくると、
人ごみに紛れている、真司先輩が見えた。


「あ!真司先輩!」


大声で呼んだあと、
真司先輩はこっちに気が付いたのか
手を振ってくれた。


私はなんだかうれしくなって
また小走りで真司先輩のもとへ向かった。

すると、下駄がどこかに引っかかってしまい、
私は視線がだんだんと下がっていく感覚に襲われた。


あれ・・・転ぶの?


なんで、
転ぶときってスローモーションみたいなんだろう


そんなくだらないことを考えていると急に固い地面、
ではなく、暖かい誰かの胸へとぶつかった。


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