ほたるの初恋、消えた記憶

これって、もしかして三角関係でしょうか

昨日は無理矢理宮東祐吾を帰したのに、朝早く家の前にベンツが止まってるし、あり得ない。

ベンツになんか絶対乗らないから。


運転手の青木さんが下りて来た。


「祐吾様がどうしても乗ってもらうように言っておりますので、私の顔を立てて乗っていただけないでしょうか。」


分かりました。


分かりましたから、乗ればいいんですね。


ズタズタ歩き、ベンツに乗り込んだ。


「おはよう、ほたる。」


おはようだなんて、のんきな挨拶してるんじゃないわよ。


朝からイライラがおさまらない。


「早弁しても困らないように、七海さんにお弁当を三つ作ってもらったからね。」


3つ?


「ほたるの分が2つで、後のは俺の。」


何故か素直に納得してしまった。


10年前の記憶が戻って、宮東祐吾を思い出す事が出来るのかな。


永久に思い出さなかったら、祐吾はどうするつもりなのだろうか。


今日も校門の前に菊地がいた。


ベンツから下りると菊地が近づいて来る。


「ベンツで登校か。歩いて来れる距離だろ。明日から歩いて来い。」


はい、そうします。


菊地先生、そうしたいと思ってますが、宮東祐吾が又迎えに来るからと宣言したばかりなんですよ。


菊地が宮東祐吾に近づいて行く。


菊地先生何を言うつもりですか。


「ベンツに乗って登校か、ほたるを巻き込むな。」


もうなんで睨みあってるかな。


「ほたるが好きなのがバレバレですね。菊地先生。」


ちょっと、祐吾は何を言うの。


先生を挑発してどうするつもりなのよ。


ないない、菊地が私を好きだなんて。


菊地が耳元で囁いた。


「宮東祐吾に負けないから。」


菊地!


あんたは先生だから、そんな事口にしたら駄目でしょ。


「先生も男だからね。」


宮東祐吾、その発言はやめてください。


にらみ合いになってるし、火花飛んでるし。


「おはよう、ほたる。なんかおもしろい事になってるね。」


決して面白くないですから。


健斗が私の横を通る。


「今日は部活サボるなよ。」


思わず大きな声ではいと答えていた。


まともなのは健斗だけだよ。


菊地と健斗に、宮東祐吾がうちでバイトをしてる事は内緒にして置こうと強く思った。


バレたら大変な事になりそうだから。


怖い、怖すぎる。














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