ほたるの初恋、消えた記憶

色々な事が分かった夏休み後半

剣道の大会は祐吾が個人優勝した。


何でも完璧男の祐吾。


長身でイケメンで勉強も運動も出て、お金もち。


何なのさ、この男は。


私とは違い過ぎる。


健人の家は大きな造園業で、この町では有名だ。


健人は小さい時から造園の仕事を手伝っていたのに、私が造園のトラックとぶっかってケガをしてからは、造園の仕事を手伝わなくなった。


その時の記憶はないけど、父さんからあれは、ほたるが上手く乗れない自転車に無理矢理乗ったからだと、健人は何も悪くない。


あのケガをした日から、ずっと健人は私を守って来てくれた。


健人は将来造園の仕事をしたいと言っていたのに、私のケガのせいで諦めてしまったのかと思うとたまらない。


健人とその時の話もしたいと思っているけど、中々話す機会がなかった。


10年前のあの日、何があったのか。


誰も教えてくれないから聞けなかったけど、もう子供だったあの頃とは違う。


何を聞いても驚かないよ。


健人も美幸も何か隠してように思えてならない。


それは私を守る為にだと思うから、今まで聞けなかった。


真実を知るのは怖いけど、知らないと前に進めないと思う。


そこに祐吾も関係してることなのかもしれない。


怖い、本当は凄く怖いんだ。


このまま知らずに過ごせたらと思ってしまう。


























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