ほたるの初恋、消えた記憶
こうして祐吾と再会して、少しは何かが変わるのかと思ったけど、祐吾を懐かしく思う事もなくて、そばにいても気にならない存在にはなっていた。


祐吾が転校してきてから、健人がよそよそしくなったのが気になったけど、祐吾の伝言を伝えなかった事を気にしてるなら、それはもういい。



10年も前の事だし、子供だったから仲良しの子を取られるのが嫌だったんだと思う。


反対の立場なら、私もそうしたかも知れない。


一番気になるのは、私のせいで青木さんのお母さんを巻き込んでしまった事だ。


「誠也さん、七海さん本当にごめんなさい。」


気にしないで下さいと言われた。


祐吾のお母さんにとても親切にしてもらったし、祐吾を本当の弟だと思ってると言う。


「宮東家の事は僕がなんとかするので、祐吾には好きな道を歩いてほしいと思ってます。」


兄として出来る事を精一杯したいと言った。


祐吾が一人でなくて本当に良かったと思う。


祐吾も誠也さん七海さんが母親はいない。


これからは兄弟仲良く、亡くなった二人のお母さんに、幸せに生きている姿を見せあげてほしい。


祐吾がこの町に住むと決めたなら、それを応援したいし、私の進路も決めなくちゃ。


頭が重い、なんだか眠くなってしまった。










< 75 / 187 >

この作品をシェア

pagetop