ほたるの初恋、消えた記憶

東京は祐吾の生まれた街だから

部屋の広さに又驚いた。


床は大理石とかいうやつかな?


見たこともないから分からないけど。


お風呂も広くて一人で入るのは勿体ないと思う事が、すでに田舎者なのか。


ベットもふかふかで寝れないよ。


母さんは一生の思い出と言って楽しんでるけど、ますます祐吾が遠い世界の人だと感じた。


明日は浅草を観光案して早めに帰ろう。


美幸からメールがきていた。


【お土産忘れないでよ】


【たくさん買ったから楽しみにね】


美幸は検査結果を聞こうとしない。


【頭は大丈夫だったよ。】


【そんなの当たり前】


祐吾と過ごした10年前の事は、この先も思い出すことはないのかも知れない。


祐吾はこれから新しい思い出を作ればいいだろと言ったけど、思い出せない事がもどかしくてたまらないんだよね。


無理に思い出そうとするのは絶対駄目だと言われたし、心療内科は今まで通り月一で通うように言われた。


やっぱり思い出したいよ。


忘れてしまった事が悲しくてたまらない。




















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