*武士の花*~花は桜木、人は武士~
~渉~





痛い……背中が、痛くてたまらない

体が縄で縛られ自由が効かない



何日たったか、もうわからない




「いい加減食えよ!!」


口に握り飯を押し付けられる




食べるもんか!!



ギィー



「強情だな…」




ここに連れてこられてから、誰とも口をきいていない

何も食べていない




「渉だったか?」




皆が俺を呼んだから、名前は知られている


「ん?お前…背中を怪我しているのか?
血がにじんでいる」


やばい……


「辰を呼べ」



辰と呼ばれた男が、部屋に入り

口に無理やり、何か水を入れられた


あぁ…これ、知ってる

桝屋のお茶に入ってたやつ


体の力が抜ける


どうせなら、意識も奪って欲しかったな

こんな奴らに……




着物を脱がされていく



「女……?女だったのか!?」

サラシまで取られる

辰に傷を見せるように、体を支えられている


裸の俺が、コイツに抱きついてるみたいじゃねぇか

「食事もとれていないから、傷がよくない!焼こう!」


焼くと傷跡が酷く残るからって、山崎さんが頑張ってくれてたのに


口に布を噛まされた


本当、寝かせて欲しい


何でコイツに抱えられてんだよ


ジュッ


「んんんんんんーーーーーーー!!!!」


いっっっっっってぇーーーーーーーーー


「頑張れ!!大丈夫だからな!!」


あんまり痛いから、薬が切れたのか

手が動いた

こんな奴にしがみついてしまった

しかも、励まされて

布を外した後、口づけされて


「よく、頑張ったな!?」


お前に褒められても、嬉しくねぇよ!!!



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