*武士の花*~花は桜木、人は武士~
~山崎烝~



夜中、任務から戻る途中


偶然見つけた七重に、違和感を覚えた

任務ちゃうな?


綺麗な着物で、きちんと髪も結って

女として歩いていた


酔っぱらい4人に絡まれて、引きつり笑いでついていく

おいおい

あぶないやんけ!!


慌てて連れ込まれた家に入ると

着物を脱がされそうになっている

素早く4人を眠らせる

酔っぱらいなんて、チョロいな



ガタガタと震えている七重に近づく


「アホなことすな!」

頬に手を触れると、熱が下がり切っていないことがわかる

「七重、よかった… こんなんにお前をやるくらいなら、俺が貰うわ」


卑怯だと

理解してても

抱きしめずにはいられなかった

こんなに震えて……


「もう、怖くないで?」


1つ 2つと口づけをする


拒めないとわかっててこないなことする


「七重、でてきたんか?」


コクリ


「さよか……」


監察の仕事用に借りた家に、連れて行った


「ひとりで大丈夫か?」

横に首を振る


「ほな、一緒におるし、寝や?」

コクリ


「七重?」


呼ぶと俺を見る

せやけど、なんでや?

なんで?なんも喋らんねん?


水に濡らした手拭いを額にのせてやると


ジッと俺を見る


「貰ってくれないの?」


////////なんちゅうこと言うねん!!

「具合の悪い奴を襲うほど、悪人ちゃうって、言ったやろ!!」

!!!七重が俺の頬に手を添えた

「烝さんの女になりたいって言っても?」

「俺が欲しいんは、体やない!心や!
安売りすな!!」


名前で呼ぶんは、反則や……


「う゛っ」

「七重?」

布団をはいで、手をあてている場所を見る

下腹部?

「辰の見立ては?」

「診せてない」

「なんでや!?」

「触られるのが、怖いの……」


それなのに、体を売ろうとしたんか?

あんな震えるほど


「アホ!!」


押し入から、治療道具を出す


「怖かったり、痛かったら言いや?」


間違いない……流産の後、きちんと処置してないんや

「よし!!ええで!!
よぉ頑張ったな!」

薬を飲ませ、手拭いを変えてから
俺も横に寝る


「治ったら、貰うで!」


熱のせいで赤いんか、わからんけど

辰己より、俺を頼ってくれてるのは

確かや!!


そっぽ向いてる七重に

「烝さんの女になりたいってほんま?」

コクリ


よっしゃ!!!

「烝さんは、消えないんでしょ?」

「消えるときは、一緒に消えようや?」

ペチャ

勢いよく振り向くから、おでこの手拭い

俺の顔に当たってんけど……


それより……


七重が、自分から口づけをしてくれてる


俺は、ずるい


寂しさを知ってて利用するんや


「こら!男やぞ!!我慢すんのも辛いんや!!サッサと寝ろ!!」



副長には、敵わないから









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