幼なじみはアイドルの先輩
俺が何者かわかってて…………。気難しい運転手と言った俺が実に恥ずかしい。


よく見ろよ!孫娘の話してた時は目尻下げっぱなしだったじゃねーか。


娘の1年の成果の1つをおっしゃっていただけたのが、俺にとってのお礼ですよ。


運転手にお礼の言葉を述べて、迷うことなく店に突撃した。


「ご無沙汰しております」


「遭難するかと思ったよ」


再婚してから外食は極力控えてきたから、なじみの店員の挨拶がワンパターンなんだ。


昔の貯金を今有効活用させてもらってるよ。


「遅れてるなあ」


「大丈夫ですよ。みなさん5分ほど前にいらっしゃいました」


コートを預けて中に案内された。


外の凍える世界とは真逆の暖かさが店内を包み込んでいた。


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