幼なじみはアイドルの先輩
「もっと早く戻れると思ってたんですが、このザマです。わざわざ函館からオヤジとお袋が週末に来てくれるのが申し訳なくて。親不孝な息子ですよ」


「妹さんがちょくちょく来てるんだって?」


「あいつも結婚してる身分で子供もいて忙しいんですけどね。頭下がります」


「今はゆっくり休め。劇場は榊がいるから何とかやってる」


「何とか……ですか」


テーブルに置いてあるマグカップを右手で取ろうとしたが、小刻みに震えてたので、俺がマグカップを手に取り、安西を少し起こして口元に近づけて飲ませた。


「わざわざ来てもらってこんなことさせて」


「気にすんな」


「辞めていく劇場メンバーをどうにかしようと久留米さんに掛け合ってた矢先ですよ。知っての通り劇場に興味ない久留米さん相手に話し合いしても無駄だというのは分かってたんですが……身体使い過ぎました」


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