幼なじみはアイドルの先輩
芽生のスピーチは内野とは正反対だ。


涙は見せず簡潔に終わらせる。


最後は内野を気遣うコメントをする余裕まで見せてる。


まあいろいろあったが、去年より早く終わってよかったよ。


「ネットニュースもう出てますよ」


「もう選抜祭のこと出てるのか」


「いや、杏ちゃんが出た映画の舞台挨拶のことです」


「ホントか?どれ」


写真付きの記事だ。


端っこでおとなしく並んでいるね。


『一方、映画初出演となるガーネットグローブの水原は居酒屋を切り盛りする両親を手伝う無口な娘役を演じ物語のカギを握っている』


重要な役?


桂木は何も言ってないぞ。


『感想を訪ねると、初めてなのでどうしていいかわからずただ監督さんの指示を自分なりに解釈して演技しました。次の映画の予定はないですと終始恐縮しきりだった』


「杏ちゃん凄いなあ。あたしも出たいなあ」


俺に訴えてもびくともしないよ愛結さん。


おねだりされる前にお帰りしたほうがいいね。


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