幼なじみはアイドルの先輩
今の杏の言葉が私の胸に冷たく突き刺さってくる。


箸が自然と止まった。


まだまだ食べたいんだけど……。


「どうしたの?そんな悲しい顔して」


「え?あたし、そんな顔してた?」


「ほら、食べて食べて。今劇場に携わってる人はみーんなお飾りだから、どうすることも出来ないし」


ずいぶん諦めが早いね。


でも、言葉と裏腹に水割りを一気に飲んでジョッキをテーブルにドスンと。


「酔ってないよ」


自分から言うとどうも怪しいな。


「ロック少しならいけるかな。もう飲まないとやってられなーい。いつかお飾りじゃなくなる日を願ってまたかんぱーい」


少なからず気にしてることだけはわかったよ。


3年の年月が形はいびつだけど、社先生がおっしゃってた通りの路線へまっしぐらだ。


うっぷんがたまってるからこれからカラオケ連れていきます。


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