1位の彼女と2位の俺~嘘から始まる恋~
エントランスをくぐると、受付の林さんがあの時と変わらない笑顔で迎えてくれる。
「お久しぶりでございます。鴻上様。」
「っっ!!覚えてくれているんですかっっ!?」
驚いて思わずそう言うと、林さんはニッコリ笑って、
「もちろんでございます。
あの頃のことは、今でも鮮明に覚えていますよ。
綾瀬様も鴻上様も、本当に幸せそうに笑っていらっしゃいましたから。
でも…ある時から、パッタリ来られなくなり、それと同時に綾瀬様は心から笑わなくなってしまわれた。
でも今もこうして、この部屋を借りていらっしゃるのは、鴻上様との思い出をなくしたくないからと……綾瀬様がおっしゃっていました。」
「…え??梨花はまだこの部屋を借りているんですか?」
「えぇ…。
私が言うべきことではないかもしれませんが、先程泣きそうな顔で帰って来られました。
その涙を止められるのは…鴻上様だけの様な気がします。」
「…帰ってきてるんですね。
ありがとう!林さん!!」
林さんにお礼を言うと、急いでエレベーターに乗り込んだ。