瑠璃色のCherry tree
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今の時間は朝のホームルーム10分前。
結局今年もはるちゃんと同じクラスで安心している私は、自分の席である窓側の一番後ろの席で机に突っ伏していた。

(あーあ…はるちゃんと席遠くなっちゃったなぁ…)

あの後桜があまりにも綺麗だったので、二人で写真を撮っていたりしたら予鈴がなったので走って教室まで来た。

そしたら席が窓側の一番後ろと窓側の一番前しか空いていなかったのだ。

(そしてお隣さんは…)

そっと目線だけ移して隣を見る。
桜河 陽集くん…だっけ? バスケ部のエースらしく、女の子にとても人気だと聞いたことがある…。

長いまつげに少し茶色がかかった瞳と髪の毛。
あ…髪の毛さらさらしてそう…

バチッ

ふいに桜河君と目が合った
咄嗟に目を離す
そして自分の手で顔を覆って下を向く。

(きっと今の私の顔…まっかだ…恥ずかしい…)

暫くの沈黙のあと、その静けさを破ったのは桜河君だった。

「あのさ。その…よろしく。」

私はびっくりして
「うっうん!こ、こちらこそよ、よろしくおねがいしますっ」
という変な返ししか出来なかった。

またしても赤面。
その様子を見てか桜河君がクスクスと笑う。

「そんな緊張しなくていいよ。暫く席替えしないと思うし、隣同士仲良くやっていこう」

「は、はいっ!」

あ、なんか初めて男の子とこんなに話した気がする…
いつもうんとか分かったしか言ってないから…

それから5分。わたし達は色んなことを話した。
好きな教科とか嫌いな食べ物そのほか色々。
とても話しやすくていつの間にかタメ口になっていた。

ガラガラガラッ
「ホームルームをはじめるぞー」

先生が入ってきて皆静かになった。
わたし達も‘またあとで’と小声で言って前を向く。




それからの先生の話はすごく長かった。
後半になればほぼ皆うつぶせ状態。
この先生……熱血?新任の先生かな?見たことないや。


熱血は少し苦手。…なんだか嫌な予感がするけど……気にすることはない。よね?


しばらく窓の外を眺める。
(あ……桜のじゅうたんみたい…)
グラウンドの周りにある桜の木が風になびいて花びらが散っている

(わたし、春好きだなぁ。)


そう心の中で呟いて笑う私を隣の桜河君が見てるだなんてこの時の私はまだ知らなかった。




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