朝、きみと目が合って
6月20日(土)
その週の土曜は布団の中でゆったりとまどろんだ後、午前中に溜まっていた洗濯や掃除を済ませ、森ノ下駅で軽くランチを食べてから出社した。

「お疲れ様です」

オフィスに顔を出すと、他にもちらほらと社員が出て来ている。

「おう、お疲れ」

「あ、ちょうど良かった。瀧本さんに聞きたいことがあったんです」

同じ机のシマにいるWebマガジン組で来ていたのは、藤白さんと一年後輩の女の子、丘咲さんの二人だった。

「どれ? 私でわかること?」

休日出勤は平日より自分の仕事がはかどる。
だから、ついつい顔を出してしまう。

『せっかくの休みなんだから、しっかり休めばいいのに』

大学からの友達である律ちゃんの言うことはもっともだ。

そう言われてから、これでも日曜は休むようにしている。
だけど、そうすると今度は休みを持て余してしまうようになった。

よく考えれば、私は律ちゃんのように友達が多くなければ彼氏もいない。
最近の日曜は部屋のインテリアに凝ってみたり、DVDをレンタルして映画鑑賞したり。

おかげで趣味は充実してきたけど、結局、仕事が恋しいなんて思ってしまっている。
あまり自覚はなかったのだけど、どうやら私は仕事が好きらしい。

そういえば、丘咲さんも彼氏がいるって話だったのに、休日にここにいていいのかな。

「どうかしました?」

ぼんやりと送っていた視線を、当の彼女に気づかれてしまった。

< 8 / 25 >

この作品をシェア

pagetop