Chat Noir -バイオハザー度Max-
―――「ぅわぁ!」
ガバッ!!
叫びながら勢い良く起き上がって、周りをきょろきょろ。
そこは私が一人暮らしをするアパートの部屋で―――当然ながら、
黒猫倭人の姿はない。
「…ゆ、夢!?」
それにしてもなんつー夢…
「私は変態かっつうの…」
黒猫のくせに。黒猫のくせして。
あいつは私の心どころか夢まで自由に行き来する。
弄ばれるようなあの気ままな生き物に、
完っ全に棲みつかれてしまった。
―――
「それで、意味深な寝不足顔なんだ!♪」
大学の講義の休憩時間、構内のカフェテリアでコーヒーを飲みながら夢のことを話すと、親友の涼子はまたもキャハハと笑い声をあげた。
「あれだ…私、最近研究室に篭りきりだったから、変なウィルスが入り込んだんだ。それで私、頭の線一本いかれちゃったのかも。
ウィルスと言うより化学反応??
全然そんな素振りを見せなかった黒猫に、おかしくなっちゃったのかも」
とタバコを口にして、ため息を吐くと、
「相当だね。対、人間と言うよりもマウスやラット相手じゃしょうがないか。
欲求不満?彼氏と別れて三ヶ月だっけ??」と涼子が楽しそうに聞いてくる。
「四ヶ月と23日。あれだ、この約四ヶ月間、男っ気がゼロだったから、急に言い寄られて、ちょっと混乱してるんだよ」
と、自分なりに結論付けてみるけど、
「ゼロじゃないじゃん。こないだ法学部のメンズに声掛けられてたじゃん?
将来弁護士、検事、裁判官かもしれないメンズをフって、高校生の黒猫くんにいくとはねぇ」
と涼子は面白そうにしみじみ。