EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】

それから彼らがスッと懐から取り出したものは拳銃だった。

「吸血鬼が出没するらしいんですよ。お前達みたいな、ね」

殺気を放ちながらニヤリ。

瞳をギラつかせた警官が握る拳銃の銃口が、フェオドールの額に突き付けられる。

「覚悟しろ、人類の敵め!!」

身の危険にヒヤリとしたフェオドールだったが、それよりも隣に座る小鳥の安全のために身体が動いた。

「伏せろ!!」

「えっ、きゃあ!?」

次の瞬間、銃声が響いた。

そして、助手席の小鳥を抱き締めるような体勢でフェオドールの身体が崩れる。

「フェ、オ…さん…?」

のしかかっている彼の金髪の隙間から赤い鮮血がぬめりと滴った。

「い、いや…!フェオさん!!」

小鳥が呼び掛けるが、フェオドールは意識を失っているようでピクリとも反応しない。

このマズイ状況にいち早く対応したのは静理だっだ。

「小鳥ちゃん!フェオを連れて後ろに!急いで!」

早口で喋りながらも、静理は運転席を乗っとりアクセルを踏んでいた。

更に銃弾を喰らわそうとして拳銃を構えていた警官を吹っ飛ばす勢いで車を走らせる。

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