EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【フェオドール編】


†††




――……いらない


静かに投げつけられた一言が突き刺さる。

心がガラスでできているなら、小鳥のそれにはヒビが何本も入っており、かろうじて砕けずに形を保っている状態だ。

逃げ込んだキッチンのテーブルにプレゼントのモンブランをそっと置く。


「いらないって…何…?」


ルカのプレゼントを笑顔で受け取っていた。

カロンの冗談のような肩叩き券だって突き返していなかった。


「やっぱり、私……嫌われちゃったんだ…」


認めたら、涙が出るよりも先に心が限界を叫んだ。

小鳥の瞳が闇色に染まる。


――コンコン


「いるか?入るぞ…」

柔らかいノック音。

耳に響いた心配げな声は普段、苛立ちまじりで突っ掛かってくることの多い末っ子のものだった。


「お前…大丈――」


明後日の方向を見ている小鳥に話し掛けながら瞳を覗き込み、オーレリアンは愕然となる。

死にかけている虚ろな目が悲痛で。

直視することができずにオーレリアンは小鳥を夢中で抱きしめた。


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