EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】

「え?これ?」

いいよとは言わず目を丸くする静理の様子に、小鳥はしょんぼりする。

「だ、だめ……ですか……?ダメ、ですよね……すみません」

「いや別に構わないよ。ちょっと驚いてしまっただけで……というか小鳥ちゃんこそ、俺のでいいのかい?ピアスが欲しいならもっと他に……」

「し、静理さんの……!静理さんの、が欲しかったんです!」

「俺、の……?」

何でも良いわけじゃない。

好きな人が身につけているものだからこそ、欲しくなる。

頬を紅潮させながら力強く頷く小鳥を見て、静理は柔らかく微笑んだ。

「わかった。屋敷に戻ったら、あげるよ」

「じゃあ、ピアスの穴の開け方も、教えて下さい」

「いいよ。何なら俺が開けてあげようか、こうやって」

静理の顔が近づいてくる。

髪の毛を耳にかけられ、小鳥は彼の牙で耳たぶをカプリと甘噛みされた。

「っ、ぁ……!」

「フフ、ごめんね。冗談だよ。ちゃんとピアッサーを使おう。後で買って帰ろうか」

耳が熱い。

小鳥は恥ずかしくなって試着室へ隠れた。




< 196 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop