EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】

「静理さん!!」

廊下へ続くドアに向かって思い切って呼び掛けてみた小鳥。

すると、ドアの外側からすぐに静理の声がした。

「小鳥ちゃん?出たかい?」

「はい!あの、すみませんがタオルを…」


ーーガチャリ


小鳥が言い終わらないうちにドアが少しだけ開く。

そして、静理がタオルを持った手だけ差し入れてきた。

「すまない、小鳥ちゃん。一応、使ってないのを持って来たんだけど、俺のだから嫌かな?」

「あっ、いえ!むしろお借りしちゃって、大丈夫ですか?」

「いいよ。俺のせいだしね。でも流石に着替えはサイズが合わないだろうから、持って来なかったんだけど…」

小鳥はタオルを受け取りながら明るい声で言った。

「大丈夫です!体にタオルを巻いて、ダッシュで部屋まで戻ります!」

「いや、危ないよ。わざわざ走らなくても、俺が小鳥ちゃんの部屋まで送るから」

ここから部屋まで戻るには、白魔やオーレリアン、フェオドール、そしてカロンの部屋の前を通らなければならない。

誰かと鉢合わせしてタオル一枚のところを吸血されるのだけは絶対に避けたかった小鳥としては、静理の申し出は有り難かった。

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