EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】

「はあ?僕だって暇じゃないんだよ?そんな面倒、そこで舟漕いでるフェオドールに頼みなよ」

書斎のソファーに座って腕を組み、テーブルに両足を投げ出して眠っている金髪の三男。

全く起きる様子のないフェオドールを見て静理はやれやれと溜息をついた。

「フェオもチャリティーコンサートがあって一日いないんだって。だから、お願いできるかな」

切実さを語る眼差しでお願いされ、白魔の小さな小さな良心がグラリと揺さぶられる。

客人――それもしょっちゅうクラヴィエ家のブラッディーボトルを買っていってくれるお得意様がいらっしゃるのだ。

面倒臭いなんて言っていられない。

「……わかった。仕方ないから引き受けてあげるよ」

「ありがとう」

本来は長男である君の仕事なんだよ?俺が頼み込むなんておかしいんだからね?とは口に出さず、笑顔を張り付けた静理。

機嫌を損なわせないよう文句を控えるのは白魔を上手く操縦するための基本だ。

今回も次男の計画通りに動かされることとなった長男だった。






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