EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
13


†††


 屋台から離れ、空いているテーブルへと近づく。

座るために小鳥が椅子を引こうとすると、先回りしたルカが小鳥の座る椅子をサッと引いてくれた。

そして小鳥へ、ニコリと微笑みかける。

「どうぞ、小鳥」

大人ルカの魅力的な笑顔をまともに見上げてしまった小鳥は、不意打ちを受けて頬を染めた。

「あ、ありがとう……」

照れながら、椅子に座る。

ルカは小鳥を座らせてから、自分も向かい側の席に腰をおろした。

そんなルカを小鳥はポヤンとした表情で観察する。

テーブルの下で長い足を組み、紙コップに入った血液をちびちびと飲んでいくルカ。

彼は小鳥の視線に気づくと、首を傾げた。

「食べないの?」

問われ、小鳥がハッとする。

完全にルカに見惚れていた。

「小鳥、平気?気分でも悪くなった?」

「ち、違うの!目の前にいるのが、いつものルカくんじゃないから……その、どうしよう、なんだか……緊張しちゃって」

「緊張する?そっか……。でも慣れてくれないと困るな。何年後かにはこの俺が当たり前になるわけだし」

ルカは持っていた紙コップをテーブルに置いて、意地悪げに微笑む。

< 202 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop