彼に惚れてはいけません
1章

出会いは偶然であり必然

-出会いは突然であり必然―

パリの街並みの風景画を見つめながら、朝のコーヒーを飲む至福のひととき。
川の優しいせせらぎが聞こえる午前8時。

出社前に立ち寄る川沿いにあるカフェで、低血圧の私はようやく目が覚める。

一日の始まりは、ここの苦味の少ないエスプレッソに限る。

入社以来、居心地の良いカフェを捜し求めて4年。
ここ1年くらいずっとこのカフェで定着している。

気に入ってるのは、ボサノバ調の穏やかなBGMと、このパリの風景画。
目を閉じると、ここがパリのセーヌ川沿いのカフェなんだと錯覚できるのも良い。

そして、何より誰もがひとりの時間を楽しんでいるこの空間。
話し声もほぼ聞こえない。
お客さんの注文の声まで聞こえる静けさで、誰が何を頼むのかもだいたいわかる。
人とあまり関わりたくない朝にぴったりの場所だ。

「モーニングでドリンクはアイスオーレSで」

ホットにするかアイスにするか迷うくらいの気候。
4月末の朝。

給料日後しばらくは、エスプレッソの後にモーニングを頼む贅沢。
エスプレッソは回数券を買っているので1杯200円。
モーニングは380円という、都内では珍しい低価格。

トーストにサラダのみのシンプルなモーニングだけど、低血圧の私にはちょうどよい。
バターかはちみつを選べるのも魅力だ。

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