彼に惚れてはいけません

突然の!?

―突然の!?―


パリの有名な観光地は全部回ったと思う。

行きたかった場所に行けるたびに、私の心の中が満たされていく。

ずっとずっと憧れていた場所に自分がいるという夢のような瞬間に感動ばかりしていた。


エッフェル塔の上からの景色は、パリの街が全部見えた。

凱旋門は、登っているあいだに目が回ってしまった。

シャンゼリゼ通りは、スキップしているとつまづきそうになった。

1日目の夜にムーランルージュも行くことができた。

お酒を飲みながら、美しい女性達のダンスを見て、心躍る音楽に胸が飛び跳ねた。あの赤い風車のイルミネーションの前でジャンプして写真を撮った。


ヴェルサイユ宮殿も、オペラ座も、ルーブル美術館も行った。

はしゃぎすぎる私の横で、笑う吉野さん。

“落ち着けって”と何度も背中を撫でてくれたっけ。



今夜が、最後の夜。


最後の夜に残しておいて良かった。

星が綺麗な夜にぴったり。

セーヌ川クルージング。



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