奇聞録三巡目



慎ましく勤めあげた学校とも今日でお別れだ。


定年まで自分はよく頑張った。


最初は勝手がわからず色々と迷惑を掛けてしまい、申し訳無い。


まだ、君は此処に残るのか?


そうか、それは仕方無いか・・・。


何だか寂しい気持ちだよ。


慣れ親しんで、今まで何だかんだとやって来たけど、君のお陰だったと思っているよ。


ああ、申し送りには書き込んでおいたよ。


はっはっは。そうだろうな。信じられないだろう。


君達の存在意義は大切なんだよ。本当の意味で情操教育に必要なんだ。


今は何でも情報やテクノロジーが解決してくれる。


でも、それだけじゃ駄目なんだ。


説明がつかない物の存在と言うものに、我々は畏敬の念を抱き、そしてある種の希望が持てる。


君達がどうしてそんな形で存在しているのか、私には解らない。

解らないけど、必要だから存在しているのだと思うんだ。



あの人に会いたいとか、そう思うだろう?


その人には成れないかも知れないけど、その願いに通じていく存在としてあなた方は必要なんだ。

これからも子供たちのために宜しくお願いしたい。


大いに活躍してくれることを願う。



ただ、生きている我々と同じで、そちら側に行っても悪い奴もいる。


そいつらからは子供達を守ってあげてほしい。


それが教師最後のお願いだ。


どうも今までありがとう。




私の担任はそんな事を言っていた。

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